∧ ∧
        (・∀ ・) 
         ノ(  )ヽ
         <  >

今月の潜入リポートは801板から提供する
801板とはBLなるものを愛する女子のたまり場であり
2chでもPINK、すなわち18禁カテゴリーに属す。
BLファンは腐女子とも呼ばれる。
801板のスレ一覧を取得した管理人は早速面白そうなスレを見つけたのだった。
レスが多く長編が多いのでかいつまんでまとめていく方針だ。
需要があれば残りもまとめていこう。

1 名前:風と木の名無しさん[] 投稿日:2008/02/15(金) 14:39:47 ID:c5AUDjlU0 
  きかんしゃトーマスの801小説のスレです。  
  擬人化も大歓迎です。  
  但し荒らし行為は禁止!  
 
  
2 名前:風と木の名無しさん[sage] 投稿日:2008/02/15(金) 17:09:17 ID:NiN9cpLIO 
  じゃあトーマスは基本的に受けという事で  
 
「受け」とは早い話ファックされる側のことである。

3 名前:風と木の名無しさん[sage] 投稿日:2008/02/15(金) 18:26:55 ID:JxNR8/Ei0 
  声えろいヤツが多いよね  
  低音たまらん  
 

6 名前:風と木の名無しさん[sage] 投稿日:2008/02/16(土) 01:47:34 ID:xUuO96lNO 
  ゴードンは受け  
   
 
トーマスとゴードン
821d40eb.jpg


7 名前:風と木の名無しさん[] 投稿日:2008/02/16(土) 13:11:41 ID:jMttm4HY0 
  すみません、実は擬人化ゴードン×トーマス(H描写はなし)小説持ってるんですが・・・  
  ゴードン受がお好きな方さえ構わなければ、投下しても宜しいでしょうか?  
 

8 名前:風と木の名無しさん[] 投稿日:2008/02/16(土) 13:19:06 ID:cFvoNQKcO 
  どうぞ!喜んで。  
 

9 名前:擬人化トーマス&ゴードン(1/5)[sage] 投稿日:2008/02/16(土) 13:24:13 ID:jMttm4HY0 
  では参ります。  
   
  (「あなにおちたトーマス」より。一部擬人化に合わせて変更してあります。)  
   
  「そして君はいたずらものだ。全て見ていたぞ」  
  ハット卿がやって来てトーマスを叱った。  
  「どうか助けてください。もうこんなことは二度としませんから・・・」  
  トーマスはしょんぼりしながら懇願した。  
  しかしハット卿は難しい顔をしている。  
  「さあて、助けられるかな?ここは地盤が弱くて、クレーン車も使えないし、そう大勢の人間を入れる  
  わけにもいかん」  
  (そんな・・・)  
  トーマスはますます落ち込んだ。そんな状態で、誰がどうやってここに近づき、自分を助けられるのだろう。  
  「ん・・・いや、待てよ」  
  ハット卿が何かをひらめいたようだ。  
  「ゴードンなら、お前を引っ張れるかな?」  
  確かに、彼ならば一人だけでトーマスを引っ張り上げるだけの腕力はあるのだが・・・  
  「ええ・・・多分・・・」  
  トーマスはゴードンに会いたくなかった。あれだけ散々からかっておいて、今更どんな顔をして  
  彼に救い上げてもらえというのだろうか。  
  しかし、ここはもう彼に縋るしか、トーマスの助かる途はなかった。  
   
 
10 名前:擬人化トーマス&ゴードン(2/5)[sage] 投稿日:2008/02/16(土) 13:25:03 ID:jMttm4HY0 
  「でーっへっへっへっへっ、トーマスが鉱山の穴に落っこちたって?ハハハハハ、面白い冗談だぜ」  
  ゴードンが大笑いしながら現場にやってきた。  
   
  (ああ・・・きっとゴードンは僕のことをここぞとばかりにいじめるんだろうな・・・  
  あんな酷いこと、言わなきゃよかった)  
  トーマスは穴の底で暗澹たる気分だった。  
   
  やがて上の方が騒がしくなった。ゴードンが到着したようだ。  
  おそるおそる穴の入り口を見上げると、ゴードンと応援の機関士たちがトーマスを見下ろしていた。  
  案の定ゴードンはニヤニヤ笑ってはいたが、それでも頼もしい声で呼びかけた。  
  「ちびのトーマス!すぐに助けてやるぞぉ!」  
   
  トーマスの前に、丈夫なロープがするすると下ろされた。  
  「そいつをしっかり、体に巻きつけろ!」  
  ハット卿が言った。  
  トーマスは急いで、ロープを自分の腰に巻きつけ、余った部分をぎゅっと握った。  
  引っ張られるとかなり痛むだろうが仕方がない。  
   
 
11 名前:擬人化トーマス&ゴードン(3/5)[sage] 投稿日:2008/02/16(土) 13:25:57 ID:jMttm4HY0 
  「用意はいいか?」  
  地上でも、ゴードンの方の準備が整ったようだ。  
  「それ、引っ張れ!」  
  ゴードンがロープを渾身の力で引き始める。  
  トーマスの体も、少しずつ、しかし確実に上に上がり出した。  
  (痛い・・・!)  
  引っ張られるたび、ロープが腰に食い込み、ズキズキと痛む。それでも、歯を食いしばって必死に耐えた。  
   
  やがてトーマスの体が地上に覗き始めた。  
  「それ、もう一息だ!」  
  ゴードンは最後の力を振り絞ってロープをぐい!と引き、トーマスの体が殆ど露になったことを確認すると、  
  彼をすかさず強く抱き寄せた。  
  「うわっ!」  
  弾みで二人はドサッ!と地面に折り重なって倒れた。  
   
  思ったよりも大変な作業だったが、トーマス救出作戦は見事に成功したのだった。  
   
 
12 名前:擬人化トーマス&ゴードン(4/5)[sage] 投稿日:2008/02/16(土) 13:27:05 ID:jMttm4HY0 
  「・・・ごめんなさい」  
  ゴードンの大きな胸の中にすっぽりと包み込まれたトーマスは、その広い肩口に顔を埋めながら  
  かすれた声で彼に謝った。  
  「僕は・・・生意気でした・・・」  
  本当はもっともっと、彼に言わなければならないことがあるのに、うまく言葉を紡ぐことができない。  
  無事に助かった安堵感と、散々からかった相手に助け出された気恥ずかしさとが入り混じり、  
  トーマスの目と鼻の奥がじんわり熱くなった。  
  「いいってことよ」  
  ゴードンはこの小さくて愛らしい後輩の頭や背中を、ポンポンと優しく叩いてやりながら言った。  
  トーマスはゆっくり頭を起こし、彼の顔をそっと見つめる。  
  「お陰で笑わせてもらったぜ。ま、俺も前にドジをやったがな」  
  そう言って、この大柄で気の良い力持ちは豪快に高笑いした。  
  トーマスもようやく笑顔になる。  
  「僕だって、そうです」  
  そう、誰にだって失敗やドジはある。いつ、誰の身に起きてもおかしくない。  
  だからこそ、皆がお互いに助け合わなくてはならないのだ。  
   
 
13 名前:擬人化トーマス&ゴードン(5/5)[sage] 投稿日:2008/02/16(土) 13:28:19 ID:jMttm4HY0 
  「なあ、トーマス。俺たちは手を組もうじゃないか。お前は俺を助け、俺はお前を助ける」  
  「それはいいね!」  
  トーマスは弾んだ声で答えた。  
  もう、いつもの無邪気で明るいトーマスに戻っている。  
  「よーしよしよし。これでよし!」  
  ゴードンも満足そうにそう言って立ち上がると、  
  「うわっ!」  
  トーマスは思わず声をあげた。ゴードンがトーマスを、いきなりその逞しい腕に抱き上げたのだ。  
  いわゆる「お姫様抱っこ」である。  
  「ちょ、ちょっと!ゴードン!何するのさ自分で歩けるって!」  
  「穴にはまった奴が無理言うんじゃねえ!車庫まで運んでってやる!」  
  「やめて!恥ずかしいよ!皆が見てるってば!」  
  「見たい奴には存分に見せてやるさ!このゴードン様が救出した可愛い可愛い姫君をな!がはははは!」  
  「誰が姫君なんだよ!もう!ゴードンのバカ!」  
  「あぁん?助けてもらった恩人に言う言葉かそれは?お前にはまだまだシツケってもんが必要なようだな。  
  まあいい、今夜一晩かけてたっぷり教え込んでやるぜ!」  
  「助けてえ~!」  
   
  トーマスの悲鳴と、ゴードンの笑い声、そしてハット卿や機関士達の苦笑いを包み込んで、  
  ソドー島の一日はゆっくりと暮れていった。  
                                                                  おしまい  
   
   
  以上です。SS初心者なもので、未熟な点も多々あると思いますが、  
  皆様のお気に召せば幸いです。  
   
 
17 名前:風と木の名無しさん[sage] 投稿日:2008/02/16(土) 21:30:29 ID:f9OegxJ00 
  >>9-13  
  最高です。  
 

18 名前:風と木の名無しさん[sage] 投稿日:2008/02/17(日) 01:12:57 ID:VLStpWdM0 
  パーシーの天然っぷりが堪らないw  
   
  『ゴードンの窓』で、ゴードンがジェームズを「お前なんか窓に浮かぶ風船だ」  
  とけなしたとき、横から無邪気に  
  「え、風船ってどこにあるの?お空はからっぽだよ?」  
  と返したときはめっちゃ可愛くて和んだv  
   
  彼は絡むとしたら…いつも仲の良いトーマスかな?  
 
パーシー
9fcdaa5f.jpg

エドワード
5be5c612.jpg


21 名前:エドワード&パーシー(1/8)[sage] 投稿日:2008/02/18(月) 04:26:11 ID:OcIcoG+30 
  深夜のティッドマウス機関庫。  
  僅かな外灯と、隣接する駅構内から煤けたランプの光が漏れる他は、辺り一面暗闇に覆われ、人っ子ひとりいない。  
   
  今夜はこの冬一番の冷え込みだとかで、海からの凍てつくような風が強く吹きつけ、島の木々を揺らした。  
  木々が風に煽られるたび、ひゅうひゅうと、えも言われぬ不気味な音が周囲に響く。  
  いつの間にか、どこか遠くから、梟の鳴き交わす声も聞こえてきた。  
   
  この機関庫の一員、エドワードは、自分の車庫で重たげに瞼を閉じ、すやすやと寝息を立てていた。  
  今日は一日中、他の機関車たちの起こした面倒事の尻拭いをさせられ、すっかり疲れてしまった。  
  大型の機関車たちは、自分で客車や貨車を集めるのが嫌だと言って駄々をこねるし、  
  小さな連中は連中で、先輩格にちょっかいを出したり自分の力を過信しすぎたりしては、何がしかの失敗をこさえてくるのだ。  
  そんな世話の焼ける同僚らの後始末を引き受けるのは、いつも年長者であるエドワードと決まっている。  
  支配人のトップハムハット卿も、彼ならば安心だろうと、問答無用で任せきりときた。  
   
  元来気立てが良く勤勉な彼は、命じられれば何でも、文句も言わずに素直にこなすのだが、  
  しかしやはり仕事を離れると、時折悩みと疑問の入り混じった思いに囚われてしまう。  
   
  いったい、自分は何のためにここにいるのだろう?  
  つい仏心を出して不始末をしでかした仲間を助けてしまうが、それは本当に彼ら自身のためになるのか?  
  自分はお人よしで甘すぎるのではないか?  
   
  けれど、いくら考えても答えは出てこず、やがて諦めて路線に舞い戻り、仕事に打ち込むことで心の中に  
  立ち込めた薄黒い霧を無理矢理払いのけるのが彼の常だった。  
   
 
22 名前:エドワード&パーシー(2/8)[sage] 投稿日:2008/02/18(月) 04:27:15 ID:OcIcoG+30 
  どのくらい眠っただろうか。  
  ふとエドワードは目覚めた。と、次の瞬間、ぴくりと体を震わせた。近くに誰かの気配を感じたのだ。  
  (誰だ?)  
  エドワードは眠気も吹き飛び、辺りをきょろきょろ見回した。  
  機関庫の中には彼以外誰もいない。と、いうことは・・・  
  (扉の外に誰かがいる!)  
  誰が来たのだろう?機関庫を訪れる相手といったら、機関士か整備員だろうか。  
  しかし、彼らがわざわざこんな時間にやってくることなど、まず考えられない。  
  (まさかトップハムハット卿?…でも、ないだろうなあ…)  
  彼はいつも数人の供を連れ、自動車でやって来るから、すぐにそれと分かるはずだ。  
   
  だが、扉の向こうには間違いなく誰かがいる。  
  エドワードは、その青い車体中に緊張感をみなぎらせ、おそるおそる小声で尋ねた。  
  「誰だ?そこにいるのは?」  
   
  「僕だよ、エドワード…」  
  幼さを残した声が、か細く返ってきた。  
  (その声は・・・パーシー!でも、なぜ?)  
  エドワードは急いで、でもそっと前に進み、機関庫の扉を押し開く。  
  (動いた!)  
  幸い扉に鍵はかかっておらず、鈍い音を立てて開いた。  
 
23 名前:エドワード&パーシー(3/8)[sage] 投稿日:2008/02/18(月) 04:28:09 ID:OcIcoG+30 
  外にいたのは、やはり小柄な緑色の機関車、パーシーだった。何かに怯えた表情で、全身をぶるぶる震わせている。  
  「パーシー!」  
  エドワードは小さく呼びかけた。  
  「一体どうしたんだ、こんな時間に外に出て?それに、こんなに怯えて…何かあったのかい?」  
  パーシーは相変わらず青ざめた顔で答える。  
  「お願い…僕も…君のところに入れて…」  
  唐突な申し出に少なからず驚いたが、これはただごとではないと、エドワードは承諾することにした。  
  「わかった。でも、そっと入っておいで。他の皆は寝ているからね」  
  そう言うと、自分は再び車庫の中に、ゆっくりゆっくり戻っていった。  
  パーシーも大人しく彼に従い、出来る限り音を立てないように注意して、エドワードの車庫に入る。  
  ここで同僚たちを起こそうものなら、大型の三台から何を言われるかわからない。  
  慎重に車輪を滑らせ、やがて無事にエドワードの車庫に入ると、風に揺れた扉がぱたん、と後ろで閉まった。  
   
  「どうしたんだい、パーシー?」  
  エドワードは深夜に突然押しかけてきた後輩にも、嫌な顔ひとつせず優しく尋ねた。  
  「怖い夢を見たのかい?それとも、何か悩み事でもできてしまったの?」  
  パーシーは、この穏やかで頼りがいのある年長者の傍に来たお陰か、少し落ち着きを取り戻したようだ。  
  しかし、その顔には相変わらずの怯えと、すまなそうな色が浮かんでいる。  
  「…ごめんなさい、エドワード…」  
  パーシーは彼に詫び、ぽつり、ぽつりと語りだした。  
  「怖かったの…怖くなったの…いろんなことが…」  
  「いろんなこと、って何だい?」  
  「最初は暗いのと、風の音が…そのうち、すごく不気味な声が聞こえてきて…寝られなくなったの…」  
  「なるほど、梟の声が怖かったんだね」  
  エドワードもパーシー達よりずっと前、初めてここに来た時は、夜に起こる何もかもが恐ろしくて震えてばかりいたから、  
  その気持ちは良く分かる。  
  海岸のすぐ近くに位置し、周辺に人家も殆どないこの機関庫にいると、たかが風、たかが鳥の声、ではないのだ。  
   
 
24 名前:エドワード&パーシー(4/8)[sage] 投稿日:2008/02/18(月) 04:28:54 ID:OcIcoG+30 
  「だけど…だけど…もっと怖かったのは…」  
  パーシーは必死に言葉を紡ぎ出す。  
  そして、意外なことを口にした。  
  「そのうち、僕たちも…あの暗い、暗い闇の中に放り込まれてしまうんじゃないか、ってことだったんだ…」  
  「え?」  
  エドワードはパーシーが言っている意味がよく分からなかった。暗闇の中に放り込まれる、だって?  
   
  パーシーは改めて恐怖が甦ってきたのか、急に涙声になる。  
  「ゴードンが…僕たちに話してくれたんだけど…ディーゼル、ディーゼルが…これからは、もうディーゼル機関車の時代だから…蒸気機関車なんかいらなくなるって…用のなくなった奴から…スクラップ工場に送られるんだぜって…」  
  エドワードも仰天した。  
  「何だって?彼がそんなことを言っていたのか?」  
  冗談ではない。機関車にとってスクラップ工場行きとは、完全な死を意味する。  
  もう二度と、明るい空の下で自由に走ることなどできなくなるのだ。  
   
 
25 名前:エドワード&パーシー(5/8)[sage] 投稿日:2008/02/18(月) 04:30:30 ID:OcIcoG+30 
  パーシーは喉の奥をヒク、ヒクと鳴らしてしゃくり上げながら、やっと言った。  
  「ゴードンは…すっごく…すっごくカンカンになって…いつかディーゼルの奴を  
  とっちめてやるんだって…言ってたけど…  
  ねえ、エドワード…スク、…スクラップ工場に…送られたら…  
  もう、もう二度と…走れないんでしょ?」  
  「…ああ、…」  
  「バラバラに…されて、…もう、戻って…来られないん…でしょ?」  
  「…ああ、そうだ…」  
  「やだよ、そんなの…!」  
  刹那、パーシーは堰を切ったように泣き出した。  
  「僕嫌だよ!そんなの!バラバラになって、  
  もう何もできないで、真っ暗な世界に行かなきゃいけないなんて!  
  聞いたことがあるもん、死んだら何もかもなくなって、  
  闇の中に一人ぼっちになっちゃうんでしょ!?  
  そんなの嫌だ、絶対に嫌だ!」  
  「………!」  
  「…トーマスにも…ヘンリーにも…ゴードンにも…  
  トビーにも…エドワードにも…ハット卿だって…皆がいないところに  
  行かなきゃいけないなんて嫌!!」  
  「…パーシー…!」  
   
 
33 名前:エドワード&パーシー作者[sage] 投稿日:2008/02/18(月) 22:02:29 ID:OcIcoG+30 
  連投失礼します。  
   
  今更ですが、>>25のパーシーの最後の台詞、「・・・ジェームズにも・・・」が抜けていました・・・。  
  ジェームズごめんね・・・仲間はずれにする気はなかったんだよ!  
 
26 名前:エドワード&パーシー(6/8)[sage] 投稿日:2008/02/18(月) 04:31:20 ID:OcIcoG+30 
  (僕は・・・バカだ)  
  エドワードは心の中で呟いた。  
  自分は一体、この後輩の何を見てきたのだろう。  
  やんちゃでわがままでいたずら好きで、世話が焼けて仕方がないけど、くるくると良く動き回って、何だか放っておけない  
  無邪気で愛らしい機関車。  
  だが、本当はいろんなことに、びくびくと怯えていたのだ。  
   
  彼は死ぬことを恐れていた。  
  そして、それ以上に、共に働く仲間たちと離れることが怖かったのだ。  
  日頃、何かといえば悪態をつき合い、時には周囲を巻き込んでの大喧嘩をし、ハット卿にみっちり大目玉を食らってばかりだが、  
  本当は一日たりとも別れることなど考えられない、大事な、愛すべき連中なのだ。  
  おそらく、まだ幼さを残したパーシーは自分の気持ちに気づいてなどいなかったのだろう。  
  そして、それはエドワードも同じ。  
   
  「すまなかった…」  
  エドワードはパーシーと寄り添うように並び、静かに語りかけた。  
  「…エドワード?」  
  しゅく、しゅくと鼻をすすっていたパーシーが泣くのを止め、驚いたように彼を見つめる。  
  「僕は今まで、君がそんなことを思っていたなんて、全然知らなかった。いや、気づいてあげられなかった。  
  仲間が不安を抱えていたら、お互いに支えあうのが本当なのに。  
  僕は皆より年上だから、自然と…皆の面倒を全部見ているつもりになっていたんだ。  
  だけど違った。いつの間にか、皆を…君のことだって、ただ失敗の後始末をしてあげる相手としか思わなくなっていた。  
  君が今、本当は何を考え、何を必要としているのか、ちっとも見ていなかった…見ようともしていなかったのかもしれない。」  
   
 
27 名前:エドワード&パーシー(7/8)[sage] 投稿日:2008/02/18(月) 04:31:59 ID:OcIcoG+30 
  エドワードの声は段々、自分に対する怒りを帯びたものに変わっていく。  
  「エドワード…」  
  「僕は…呆れた自惚れ屋だ。勝手に皆を分かった気になって、皆のフォローをちゃんとしているいい先輩だと思い込んでいた。  
  ゴードンやジェームズを笑えないよ。一番舞い上がっていたのは…他ならぬ僕だ」  
   
  パーシーはしばし言葉を失った。  
  どう声をかけていいか、わからなかったのだ。  
   
  「…ごめんなさい」  
  ようやく、それだけ言うことができた。  
  エドワードはゆっくりこちらに視線を向け、怒りと悲しみと、後輩への気遣いを湛えた瞳で彼を見つめる。  
  「エドワードのせいじゃないよ!エドワードは悪くなんかないよ!僕らが…いつも騒ぎを起こして、ヘマをやって、  
  エドワードに迷惑かけちゃってるから…」  
  「…パーシー…」  
  「皆、エドワードに甘えてた。僕も甘えてた。エドワードは優しくて、しっかりしてて、頼りになるから…  
  エドワードがいれば大丈夫だって、そう思ってるから…」  
  今度はエドワードが無言のままだった。  
  「だから、だから…その分僕達もエドワードのことを気遣わなくちゃいけないのに、全然なってなくてごめんなさい!」  
   
 
28 名前:エドワード&パーシー(8/8)[sage] 投稿日:2008/02/18(月) 04:33:36 ID:OcIcoG+30 
  結局、お互いに相手を十分に理解し、行動できていなかったのだ。  
  エドワードは、後輩が無意識のうちに抱いていた悩みを。  
  パーシーは、いつも笑顔で皆の世話をしてくれる先輩の心情や負担を。  
   
  「パーシー…!」  
  エドワードの柔和な顔に、ようやく微笑が戻ってくる。  
  それを見て、パーシーもここにきてやっと笑顔を浮かべた。  
  「ごめんなさい、エドワード。そして…」  
  今の彼が、一番言わなくてはいけない言葉。  
  「ありがとう」  
   
  やがてパーシーはエドワードに添われたまま、  
  彼の車体に寄りかかるようにして眠ってしまった。  
  (良かった。安心したようだ…)  
  エドワードはパーシーの寝顔をそっと見やった。慈しみに満ちた、  
  この上なく優しい表情で。  
  (感謝しなければいけないのは、僕も同じだよ。君のお陰で、今の自分が  
  やるべきことが見えたから)  
  彼は決めた。  
  明日にでも、トップハムハット卿に会って、事の真偽を明らかにしてもらおう。  
  そして、この大事な後輩を、果てしない苦悩の淵から救い出してやろう、と。  
   
   
  翌日、ゴードンが港へ子供達を乗せて行き、ハット卿から  
  嬉しい知らせを持って帰ってくるのだが、それはまた別の話である。  
   
   
  おしまい  
   
 

35 名前:ゴードンの客車 (1/8)[sage] 投稿日:2008/02/19(火) 02:15:56 ID:LUx+39My0 
  ソドー島の朝。  
  雲ひとつない、抜けるような青空の下、ゴードンに牽かれた急行列車が、颯爽と走りぬけていく。  
   
  ゴードンは自分の仕事をとても誇りにしていた。  
  ただでさえ大きく重量がある客車に、大勢のお客を乗せて高速で走るには、かなりの馬力と持久力、  
  そして技術がいる。  
  だから、急行列車を任されるということは、それだけその機関車に実力があると認められた証なのだ。  
  そして、この鉄道で、急行を牽くのは、余程のことがない限りゴードンだけである。  
  彼はそのことが嬉しくてたまらない。  
  「俺は、ソドー島一番の機関車だ!」  
   
   
  そんなゴードンに、密かに、けれど強く想いを寄せる者がいた。  
  誰あろう、毎日彼に牽かれている客車である。  
  別に、ゴードンが優れた急行列車として称賛を受ければ自分たちも鼻が高くなるから、というだけではない。  
   
 
36 名前:ゴードンの客車 (2/8)[sage] 投稿日:2008/02/19(火) 02:16:19 ID:LUx+39My0 
  彼は、毎日自分たちを引っ張って、島中を元気に駆け回るこの機関車を、心から慕っていた。  
  全身でエネルギーが弾けていそうな青く美しいボディーに見とれ、急な丘でも嵐の後でも疾駆し続ける  
  心身の強靭さにうっとりした。  
  そして何より、大柄な体と実力を傘に着た威張り屋ではあるが、ここぞというときには全力で仲間を助け守り抜く、  
  その溢れんばかりの男気に憧れる。  
   
  (自分は、ゴードンに牽かれて幸せだ)  
  彼と共に走るたび、客車は心からそう思う。  
  ゴードンの急行車両でいられることを、まずはハット卿に、そして神に感謝せずにはいられなかった。  
  (でも…)  
  ただ喜んでばかりではいられない。  
  もし、自分の気持ちをゴードンが知ったら、彼は何と言うだろうか。  
  (笑い飛ばされるだけならまだいい)  
  人並みはずれてプライドの高い彼のことだ。「客車なんか相手にできるか!」と一喝されて  
  終わりかもしれない。  
  そうなったら、自分はもう二度と、彼と一緒に走ることはかなわなくなるだろう。  
  (嫌だ…そんなことは。そうなるぐらいなら、いっそ一生胸に秘めていよう…!)  
   
 
37 名前:ゴードンの客車 (3/8)[sage] 投稿日:2008/02/19(火) 02:17:03 ID:LUx+39My0 
  ある朝のことだ。  
  昨夜はどしゃぶりの雨がソドー島全域に降り、おまけに強風も手伝って、線路がすっかりぬかるんでしまった。  
  幸い、機関車が通れないほどではないものの、通常に比べればかなり危険な状態である。  
  うっかりすれば大事故にもつながりかねない。  
  ハット卿は出発前の機関車たちを集め、「今日は慎重に走るように」と厳命した。  
   
  しかし、ゴードンは気が気でない。  
  「冗談じゃないぜ。ゆっくり走れだと?俺様が何のために急行を任されていると思ってるんだ」  
  これは決して、「自分の力を誇示さえできればいい」という意味ではない。  
  この小さな島では、ちょっと大雨や嵐が来ると、たちまち人々の生活―――農業も漁業も、商人たちも―――  
  に大きな影響が出てしまう。  
  悪天候がとりあえず収まったら、皆取るものもとりあえず、危険な地域に住んでいる家族や友人を  
  助けに飛んでいきたがるのだ。  
  そして、彼らをできるだけ速く目的地に連れて行くのが、急行列車の大切な仕事なのである。  
   
   
  ゴードンに客車が連結された。  
  「とにかく、お客をちゃんと送っていかなきゃならん。たとえ、何があっても、だ」  
  彼はそう自分に言い聞かせると、駅員の合図を確認した途端、弾丸のように飛び出した。  
   
 
38 名前:ゴードンの客車 (4/8)[sage] 投稿日:2008/02/19(火) 02:17:49 ID:LUx+39My0 
  線路は相変わらずぬかるみ、ヌルヌルと汚れて滑りやすくなっている。  
  それでもゴードンは構わず、全速力で飛ばし続ける。  
   
  客車は彼のことがだんだん心配になってきた。  
  (もし…途中で何かあったらどうしよう・・・)  
  曲がりくねった線路で、車輪が滑って脱線してしまったら?  
  かつてジェームズが味わった苦い経験のように、車輪に落ち葉や泥が挟まって動けなくなったら?  
  (ダメだ…そんなことになっちゃ!)  
  客車はたまらず、声を上げた。  
  「ゴードン!もう少しゆっくり走ってくれ!」  
  しかしゴードンの耳には届いていない。急行列車として、大勢のお客を早く連れて行くことで頭がいっぱいなのだ。  
  客車はもう一度叫ぶ。  
  「ゴードン!危ないからスピードを落としてくれ!お願いだ…!」  
  けれど相変わらず、何の反応もないままゴードンは走り続けるだけだった。  
   
  (こうなったらもう仕方がない…!)  
  客車は腹にぐっと力を込めると、車輪を線路に深く食い込ませるようにした。  
  これで、客車は思うように進まなくなる。  
  「・・・・・・・?」  
  客車の動きにつられて、ゴードンの走るスピードも、いきなりがくんと下がった。  
  「な、何だ?何が起こったんだ?」  
  ゴードンは慌てたが、いくら車輪をフル回転させても、さきほどのようには走れない。  
  やがて、列車全体の動きが、ゆっくりとしたものに変わった。  
   
 
39 名前:ゴードンの客車 (5/8)[sage] 投稿日:2008/02/19(火) 02:18:26 ID:LUx+39My0 
  「こら、お前!どういうつもりだ!」  
  どうやら原因は客車にあるらしいと突き止めたゴードンが、顔を真っ赤にして怒った。  
  「大事なお客をたくさん乗せてるんだぞ!何やってるんだ!」  
  普段なら、ゴードンに怒鳴られた客車は、彼に合わせて速度を上げるところだが、  
  今回ばかりはそうはいかなかった。  
   
  客車は、勇気を出して言った。  
  「だめだよ、ゴードン!頼むから速度を落としてよ!」  
  ゴードンは呆れたように叫ぶ。  
  「バカ言ってるんじゃない!のろのろしてたら遅れちまうだろうが!!」  
  「だけど急いだら危険だよ!」  
  客車も負けずに叫び返した。  
  「今日はいつもと違うんだ!線路はこの通りびっしょり濡れてるし、泥だらけだし、風でいろんなものが  
  飛ばされてきてるし!」  
  「・・・」  
  「もしここで車輪が引っかかって走れなくなったらどうするの?お客さんは雨上がりで寒い中立ち往生だし、  
  それに…君の事だって…」  
  「…俺のこと?」  
  「・・・・・・・・!」  
  客車はしまった、と思った。弾みでつい口にしてしまった。  
  「・・・俺が、どうかしたのか?」  
  ゴードンは彼の言葉を聞きとがめている。もう今更後に引ける状態ではない。  
  客車は覚悟を決めた。  
   
 
40 名前:ゴードンの客車 (6/8)[sage] 投稿日:2008/02/19(火) 02:19:16 ID:LUx+39My0 
  「ずっと・・・心配だったんだよ、ゴードンのことが・・・」  
  「俺が、心配だった・・・?」  
  意外な言葉にゴードンは後の言葉を失う。  
  「・・・もし、途中で事故が起きて、ゴードンが止まっちゃったらどうしよう・・・事故が起きて壊れちゃったら  
  どうしようって、すっごく怖かった・・・」  
  「・・・・・」  
  「そうしたら・・・ゴードンはバラバラになって二度と走れなくなるかもしれない・・・お客さんを危険な  
  目に合わせたって、ハット卿や皆から責められて、もう仕事ができなくなるかもしれない、って・・・」  
   
  心の防波堤が決壊したかのように、客車は言葉の飛礫を投げる。  
  「僕はそんなことになるのは絶対に嫌なんだ!僕は、ゴードンと一緒に走りたい!いつまでもゴードンに  
  引っ張られて、お客さんを乗せて島中を思い切り走りたいんだ!僕は…僕は…」  
   
  いつまでも君の急行列車でいたいんだ・・・!  
   
 
41 名前:ゴードンの客車 (7/8)[sage] 投稿日:2008/02/19(火) 02:19:50 ID:LUx+39My0 
  ゴードンはしばらく無言のまま走り続けた。  
  この客車が、まさか、自分のことをそんなに大切にし、思ってくれていたなんて。  
  自分に事故が起きないか、不名誉なことにならないか、いつも気にかけていてくれたなんて。  
  突然のことに頭が混乱し、ただ驚くばかりで、かけるべき言葉が見つからない。  
  (まったく、俺って奴はよ・・・)  
  自然と苦笑がこみ上げてくる。  
  (図体ばっかりでかいくせに、何も分かっちゃいなかった独活の大木だぜ。「走るソーセージ」なんて  
  可愛いもんじゃないな・・・)  
   
  「悪かったな」  
  ようやく、ゴードンが客車に言った。  
  先程とはうって変わって、穏やかな調子で。  
  客車は息を呑んで、その表情が分からないまま、自分の前を行く青い機関車を見つめる。  
  「お前の言う通りだ。いくら急いだって、途中でトラブルがあったら何の意味もないからな」  
  どこか照れくささと気恥ずかしさを含みながらそれだけ言うと、ゴードンはその何とも言えないくすぐったさを  
  全て弾き飛ばそうとするかのように、大声をあげた。  
  「さあ、行くぞ!もうすぐ駅だ!」  
   
 
42 名前:ゴードンの客車 (8/8)[sage] 投稿日:2008/02/19(火) 02:20:34 ID:LUx+39My0 
  (ゴードン・・・!)  
  客車は思わず、両の目に熱いものが浮かんできた。  
  ゴードンが、自分の言葉を聞き入れてくれたのだ。  
  この鈍い相手、一体どこまで自分の本当の気持ちに気づいてくれたのかまでは分からないが、  
  自分が彼のことを慕い、案じていたことはちゃんと伝わった。  
  今の客車には、それだけで十分幸せだった。  
   
   
  やがて、ゴードンの牽いた急行列車は、ゆっくりと目的地の駅に着いた。  
  人々はプラットホームに降り立ち、我先にと駅を飛び出していく。  
  「無事だといいな。あの人たちが、これから会いに行く人たち、みんな」  
  ゴードンは優しく呟いた。  
  「そうだね。みんな、みんな」  
  客車も笑顔で返す。  
   
   
  その夕方、トップハムハット卿が車庫を訪れ、ゴードンを褒めた。  
  「ゴードン、よくやったな。お客様はみなさん喜んでおられたぞ。  
  お前は本当に役に立つ機関車だ」  
  ゴードンは両の頬をほんのり染め、「ポッポー」と汽笛を鳴らして喜んだが、忘れずに言った。  
  「同じことを、俺の大事な客車にも言ってやって下さい。あいつのお陰で、俺は今日の路線を全部完璧に走れたんですから」  
   
   
  おわり  
   
 

46 名前:風と木の名無しさん[] 投稿日:2008/02/19(火) 19:19:30 ID:mv02NnZnO 
  トーマス関係だとどうしても濃厚Hが思い浮かばない・・・どなたか神降臨希望  
 
47 名前:風と木の名無しさん[sage] 投稿日:2008/02/19(火) 20:18:13 ID:/COuX8ke0 
  試しに、エロそうなキャラの名前を列挙してみようではないか。  
 
48 名前:風と木の名無しさん[] 投稿日:2008/02/19(火) 22:49:11 ID:mv02NnZnO 
  エロそうと言うか、そっちの知識が豊富そうなのは、やっぱり大型三人衆かな。エドワードはあまり興味  
  なさそう。色恋より仕事に燃えるタイプ。パーシーは天然魔性か?  
  トーマスやトビーは掴み所がない・・・。  
 
49 名前:風と木の名無しさん[] 投稿日:2008/02/20(水) 00:59:27 ID:DjdBEgW3O 
  トーマスはゴードンやジェームズが相手なら受け。  
  ヘンリーやパーシーが相手なら攻めかな。  
  でも意外とパーシーが攻めになるかも。  
  「な、何するんだパーシー!」  
  「ふふふ、トーマス。言わなくても分かってるくせに」  
  「や、やめろ。やめてくれ!」  
  「トーマス。嘘をつくのはいけないよ。ほら、もっと楽にして」  
  「あっ、あああ・・・!」  
  ・・・ごめん、今の自分にはこれが精一杯でつ  
 
ジェームズ
38b7a348.jpg


51 名前:ジェームズ→エドワード 1[sage] 投稿日:2008/02/20(水) 23:59:04 ID:+LyvS1+B0 
  最初彼に会ったとき、何て古びてみすぼらしい機関車だろうと呆れたことを覚えている。  
  聞けば、この男は僕や他の同僚たちよりも、ずっと年長だというではないか。  
  おまけに、自分たちと同じテンダー型機関車だというのに、ろくに力もスピードも出ない。  
  特にゴードンと比べると、体格の差を割り引いて考えても、その違いは歴然としている。  
  正直、何故彼を未だ現役にしておくのか、あの太っちょ経営者の頭を疑ったものだ。  
   
  だが、彼は僕たちに対し、とても優しく穏やかだった。  
  僕たちがいくら生意気を言おうが、仕事のえり好みをしようが、血相を変えるでもなく罵るでもなく、  
  ただ悲しげに目を伏せ、黙々と仕事をこなすだけだった。  
  反論しない意気地なしと嘲りたくなる反面、彼のそんな態度に接すると、自分たちがいかに子どもなのか  
  思い知らされたかのようで決まりが悪く、どこか彼を軽蔑しきれなかった。  
  これが年少の2人だったら、たちまち機関銃の撃ち合いのごとく口喧嘩が始まるところなのに。  
   
 
52 名前:ジェームズ→エドワード 2[sage] 投稿日:2008/02/20(水) 23:59:31 ID:+LyvS1+B0 
  あるとき、僕は彼に自分の引っ張る客車を用意してもらうことになった。  
  しかし、歳の所為なのか、彼はひどく仕事のスピードが遅い。  
  ただでさえ多忙な仕事のためにストレスが堪っていた僕は、彼のことを酷くなじった。  
  その怒りは転車台に乗るときでさえ一向に収まらず、このまま経営者のところへ飛んでいって  
  彼をお払い箱にして下さいと直談判しようかと考えた程である。  
   
  しかし、翌朝思いもかけないことが起きた。  
  僕はいたずらな男の子たちのせいで、勝手に発車させられ、そのまま線路を長々と  
  暴走させられるはめになってしまったのだ。  
  最初は思い切り風を切って走る心地よさに酔いしれていたのだが、ふと機関士も車掌もいないことに  
  気がついて愕然とする。  
  自力ではもう止まれないのだと気づいた時にはもう遅かった。  
  何とか自力で止まろうと思っても、勢いがついてしまった車体は頑として言うことを聞かない。  
  「助けて!」  
  情けないことだが、僕はただ悲鳴をあげながら、ただ闇雲に走り回るしかできなかった。  
   
  頭の中をいろいろな恐ろしい運命が駆け巡る。  
  このまま崖にでも衝突したら?他の列車とぶつかって大事故になったら?川にでも転落してしまったら?  
  踏み切りを渡ろうとしている誰かを犠牲にするという、最悪の結末になるかもしれない。  
  (ああ、神様・・・!)  
   
 
53 名前:ジェームズ→エドワード 3[sage] 投稿日:2008/02/20(水) 23:59:54 ID:+LyvS1+B0 
  そんな時、後ろから救いの声が響いた。  
  「ジェームズ!今助けてやるぞ!」  
  何と、自分が昨日、心の中で散々罵倒したばかりの相手ではないか。  
  驚くと同時に、それがどれだけ救いの声に思えたことか。  
   
  だが、助けが来てくれた喜び以上に、より強い不安の嵐が吹き荒れた。  
  彼はただでさえ古くて、仕事にも支障が出るほどの機関車だ。  
  ましてや、果てしない速度で走り続ける今の自分を止めるだけの力が、彼にあるのだろうか・・・。  
   
  けれども、それは杞憂に終わった。  
  彼は全力疾走して僕に追いつき、彼に乗った熟練の機関士がワイヤーロープを投げ、無事に停車させてくれたのだ。  
  そのときの安堵感と言ったら・・・!  
   
  「今まで、おんぼろなんて言ってごめんね。君は素晴らしい機関車だよ」  
  今は素直に、そう言うことができた。  
   
 
54 名前:ジェームズ→エドワード 4[sage] 投稿日:2008/02/21(木) 00:00:35 ID:+LyvS1+B0 
  しかし、悲しいかな自分は感謝や謝罪はできても、うまく他人を気遣えない性分らしいのだ。  
  ある休暇の一日、バーティに乗せられてきた観光客が、彼に乗って島を回ることになったのだが、  
  彼の車体は相当具合が悪いらしく、思うようにスタートできず苦しんでいた。  
  それを見て僕は思わず「痛ましいねえ」と口にしてしまった。  
  すると、それを嘲笑の言葉と受け取ったのか、ヘンリーとゴードンが口々に彼のことを馬鹿にし始める。  
  内心、「これはしまった」と思い、後の言葉が続かなかった。  
  別に僕はそんなつもりで言ったんじゃないのに・・・。  
   
  プライドが高いのはいいことだと、昔からよく言われたものだが、この時ばかりは自分のプライドの高さが  
  つくづく恨めしくなる。  
  表情でも、言葉でも、態度でも、僕の様子はただ彼をけなしているようにしか見えなかっただろう。  
  彼は僕がピンチの時、命を懸けて助けてくれたはずの恩人なのに・・・。  
  おかげですっかりダックとボコに叱られてしまった。  
   
  だが、その日彼は車両の故障というアクシデントがあったにも関わらず、長年の知恵と技術のお陰で、  
  ずいぶん遅くなったものの、無事に観光客を駅に送り届けたという。  
  夜になって、駅に居合わせたヘンリーからその話を聞き、僕はとてもほっとしたのだった。  
   
 
55 名前:ジェームズ→エドワード 4[sage] 投稿日:2008/02/21(木) 00:01:01 ID:+LyvS1+B0 
  それからしばらく経って、ソドー島に女王陛下がお越しになると、経営者から聞かされた。  
  女王陛下のために働けるのは誰なのか?  
  僕も同僚もわくわくしたが、彼は悲しそうに  
  「僕はもう、歳だからお呼びじゃないな・・・」と呟いている。  
  僕は一応仲間の手前、「女王陛下を乗せるのは、もちろんこの僕さ!」と気取って見せたが、  
  あることが閃いていた。  
  ヘンリーに「冗談じゃないぜ、君は坂を上れないじゃないか!」と混ぜっ返されたが、  
  そんなのはもうどうでも良くなっていた。  
   
   
  陛下がいらっしゃる当日、彼は陛下の客車を牽くゴードンの先導を任され、とても誇らしげに輝いていた。  
  (良かった・・・経営者が僕の願いを聞き入れてくれて)  
  そんな彼の様子を見て、僕は誰にも気づかれないよう嬉し涙を流した。  
   
  ちびのパーシーとトビーが、つい調子に乗って汽笛を鳴らすので冷や汗が流れたが、  
  女王陛下は嬉しげにお応えになり、陛下をここにご案内した彼にも、優しく声をかけられていたので安心した。  
   
  僕もやっと、君に恩返しが出来たね、エドワード!  
   
 
58 名前:“Catch Me!”  “Yes, I Will !”  (1/10)[] 投稿日:2008/02/21(木) 15:46:47 ID:TyYPWWXG0 
  ――――いつかあいつの全てを、この俺のものにしたい。  
   
  ゴードンはソドー島鉄道で最大・最速を誇る大型機関車である。  
  それ故か、非常に気の強い性分で、ともするとわがままで偉そうな奴だと思われがちなのだが、  
  根は真っ直ぐで頼もしく、同僚の機関車や客車には、密かに彼を尊敬する者も多かった。  
   
  そんなゴードンが今、人知れず想いを寄せる相手がいた。  
  同じ鉄道で働く小さな青い機関車、トーマスである。  
  熱心な仕事ぶりとその愛くるしい容姿ゆえ、乗客にはとても人気があり、機関車以外にもバスやヘリコプター  
  などの友人がいる。  
  初めて一緒に仕事をした頃は、ちびのくせに鼻っ柱が強く、何とも生意気な!と神経に触った存在だったのが、  
  鉱山の穴に嵌ったトーマスを救出したことをきっかけに、ゴードンと彼との間には少しずつ友情が生まれ、  
  やがてそれはゴードンの中で更なる熱い感覚へと昇華していったのだった。  
   
 
59 名前:“Catch Me!”  “Yes, I Will !”  (2/10)[] 投稿日:2008/02/21(木) 15:47:18 ID:TyYPWWXG0 
  ある日のこと。  
  ソドー島に新たな鉄道路線が完成した。  
  今までの路線の一部がすっかり老朽化して危険になったとかで、ハット卿が少し位置のずれたところに、  
  山の頂上まで伸びる線路を作らせたのだ。  
  その路線は一本だけではなく、何本もの本線・支線が組み合わさった、客車・貨車双方の運行が  
  より効率良くできるように工夫した設計になっている。  
   
  新しい路線を目の前にしたトーマスは夢中になった。  
  「いつか、僕もここを走りたいなあ!」  
  しかし、今のところ新しい路線を走るのは、石切り場や鉱山から掘り出した石や鉄鉱石を運び出す貨車や  
  急行列車ばかり。  
  ビルやベン、そしてゴードンは当然のことながら何度も走る機会に恵まれたが、トーマスの出る幕はまだない。  
  彼はそのことが非常に不満で仕方がなかった。  
  「ちぇーっ、つまんないの・・・」  
   
  その様子を見たゴードンは、一つの作戦を考え出した。  
   
 
60 名前:“Catch Me!”  “Yes, I Will !”  (3/10)[] 投稿日:2008/02/21(木) 15:48:13 ID:TyYPWWXG0 
  数日後のある夕方、ちょうど2台ともひととおりの仕事が片付いたのを幸いに、ゴードンはトーマスに持ちかけた。  
  「なあ、トーマス。あの新しい路線を走ってみないか」  
  突然の申し出に、トーマスは面食らった顔をする。  
  「そりゃあ・・・走っていいならだけど。でも、何で?」  
   
  よし、乗ってきたな。嬉しさを押し殺してゴードンは続ける。  
  「俺とお前とで、あの路線を競走するんだ。今日はビルもベンも港での仕事が入っているし、今あそこには  
  誰も入っていないはずだからな。  
  お前だって走りたいんだろう?このチャンスを逃したら、次はそうそうないぞ」  
  「そうだね、このまま次の仕事が入るまでのんべんだらりとしているのも勿体無い。よし、やろう!」  
  トーマスも頷いた。  
   
  まずは作戦第一段階成功!と腹の中でほくそ笑みながら、ゴードンは続けた。  
  「ルールは至って簡単だ。ここナップフォード駅待避線から同時にスタート、あの山の頂上まで先に着いた方が勝ちだ。  
  念のために言っとくが、あそこはかなり路線が複雑で地形も急峻だからな。俺でさえ未だに慣れないし、  
  下手をすると小回りの効く車体の方が走りやすいかもしれない。  
  だから、あそこを何度も走ったからといって、俺の方が有利だと決まったわけじゃない。そこを忘れないでくれよ」  
  「ああ、わかったよ。絶対に負けないからね!」  
  彼らしい勝気さと無邪気さが入り混じった笑顔でトーマスが返すと、2台は揃ってスタート地点に着いた。  
   
  Ready?...Go!!  
   
  トーマスとゴードンは一斉に全速力で飛び出した。  
   
 

61 名前:“Catch Me!”  “Yes, I Will !”  (4/10)[] 投稿日:2008/02/21(木) 15:48:43 ID:TyYPWWXG0 
  一心不乱に丘を登ったり、谷を下ったりして疾駆する2台の青い機関車。  
  トーマスは必死に全車輪をフル回転させたが、意外か案の定か、ゴードンにどんどん差をつけられてしまい、  
  2台の間の距離は開いていくばかりになった。  
  それもそのはずで、こうした急斜面を高速で移動し、なおかつそのスピードを保ち続けて走るには、  
  小回りも大事だが、それ以上にかなりの馬力と持久力が必要とされるのである。  
  当然、それらはトーマスよりも、ゴードンの方が遥かに上である。  
  彼がふらふらしつつ何とか走り続ける前を、ゴードンが涼しい顔で颯爽と駆け抜けていった。  
   
  「はあ・・・はあ・・・ゴードンの奴・・・何が『俺が有利とは限らない』だよ・・・」  
  今にも上がりそうな息の中、トーマスは呟いた。  
  「どう考えたって、ゴードンの方が圧倒的にハンデが少ないじゃないか・・・騙したな!・・・ん?」  
  ふと前を見ると、目の前の崖に、小さなトンネルの穴が見つかった。  
  (これは!)  
  トーマスは心の中で大きくガッツポーズをした。  
  このトンネルを通り抜けた方が、このまままっすぐ路線を走っていくより、山の頂上まで近道になりそうだ。  
  しかも、ゴードンは車体が大きすぎて、ここをくぐれそうにない。  
  (よーし、このチャンス、逃がしてなるものか!)  
  元気を取り戻したトーマスは、思い切りピストンを上下させ、力をふり絞ってトンネルに飛び込んだ。  
   
 
62 名前:“Catch Me!”  “Yes, I Will !”  (5/10)[] 投稿日:2008/02/21(木) 15:49:17 ID:TyYPWWXG0 
  トンネルを抜けた瞬間、トーマスは素早く辺りを見渡した。  
  自分よりも幾ばくか重たげな、ゴードンの車輪の音がすぐ近くで聞こえる。  
  しかも、彼の姿は前方・左右どちらを見渡しても視界に入ってこない。  
  ということは・・・。  
  (やった!)  
  遂に彼を追い抜いたのだ。  
  喜びの余り、トーマスは後方に向かって叫んだ。  
  「ゴードン!お先に~!」  
  ゴードンの表情は見えないが、あのプライドの高い彼のこと、自分から勝負を仕掛けた相手に追い抜かれて  
  さぞかし悔しがっているに違いない。  
  ちょっと可哀想かな、と元来優しく、また心の底ではゴードンを敬愛してもいる彼は思ったが、  
  いつもの悪い癖でつい、こう叫んでしまった。  
  「ゴードン!さあ、僕を捕まえてみろよ!」  
   
  しかし、彼よりもゴードンは更に上手だった。  
   
 
63 名前:“Catch Me!”  “Yes, I Will !”  (6/10)[] 投稿日:2008/02/21(木) 16:13:14 ID:TyYPWWXG0 
   
   
   
  (かかったな、トーマス!)  
  トーマスがトンネルに向かった瞬間、ゴードンはにんまりした。  
   
  何度もこの路線を走っている彼は、線路のどこにどんな設備があるか、大体のことは頭に入れていた。  
  勿論、このトンネルの存在も確認済みである。  
  トーマスの性格上、力で勝てないと分かったら、すぐさま自分に有利な方法を見つけ出し、ここを利用して  
  自分を追い抜くだろうこと、更には追い抜いたときに口にしそうな言葉さえも、彼はとっくに計算していた。  
   
  (まさか、ここまで思い通りにいくとはな・・・)  
  そして、トーマスは知らないはずだ。  
  このすぐ先に、今2台がそれぞれ走っている路線が、一つに交わる地点があることを。  
   
  決してトーマスに本心を悟られぬよう細心の注意を払いながら、ゴードンは大きな声で返事をした。  
  「しっかり聞こえたぞ、トーマス!お望みどおりにしてやるぜ!」  
   
  言うなり彼はスピードを少し上げ、しかしまだトーマスにはぶつからない程度の距離を保ちつつ走り始めた。  
   
   
 
64 名前:“Catch Me!”  “Yes, I Will !”  (7/10)[] 投稿日:2008/02/21(木) 16:13:58 ID:TyYPWWXG0 
  (やったぞ、やったぞ!もうすぐゴールだ!)  
  この島で最速の先輩を追い抜くことができた嬉しさに心弾ませながら、トーマスはぐんぐん山を登っていった。  
   
  ゴードンはまだ自分に追いついてきてはいない。  
  (ふふ、今頃火の玉みたいになってるかもしれない。でもしょうがないよね。まあ、明日辺り今度は僕から  
  何か面白いことに誘おうっと。そうすれば機嫌も直るだろうし)  
   
  ところが。  
  (あれ・・・?)  
  トーマスははっと気がついた。  
  今自分が走っている路線と、ゴードンが走っているだろう路線とが、目と鼻の先で一箇所に合流しているのだ。  
  とっさに線路脇の信号を見たが、相変わらず「進め」の合図になっている。  
  (おかしいな・・・ゴードンはこの後、どこの路線を走るつもりなんだろう・・・?)  
  何だか心配になり、トーマスは知らず知らずのうちに、少しずつ速度を下げていった。  
   
   
 
65 名前:“Catch Me!”  “Yes, I Will !”  (8/10)[] 投稿日:2008/02/21(木) 16:14:43 ID:TyYPWWXG0 
  (やっと気づいたようだな、トーマス!)  
  持ち前の馬力で、難なく彼のすぐ後ろまで接近していたゴードンは、心の中で快哉を叫んでいた。  
  作戦通り、トーマスは合流地点に入ってくれた。  
  しかもご丁寧に、走るテンポまでずいぶんゆっくりとなっている。  
  これならば自分も割合静かに動くことができるので、さほど相手にダメージを与えずに済むはずだ。  
  (つくづく、天使みたいな子だぜ、可愛いトーマス・・・)  
  もう彼の表情は喜びの余りとろけそうになっていた。  
   
  やがてトーマスが合流地点に入り、急にぶつかっても安全な程度にスピードダウンしたことを確認すると、  
  ゴードンもゆっくりと彼に近づいた。  
   
  トーマスよりもずっと先に機関車として活躍し、他の車両の運搬作業や、ときには追突事故だって幾度も  
  経験してきたゴードンには、どの程度の力で相手に当たれば被害を与えるか与えないかも、十分に体得できている。  
  絶妙な感覚でスピードをコントロールしていき、  
  (ようし・・・今だ!)  
   
  ガシャン!  
   
  「うわっ!」  
  トーマスは突然、後ろから強い力で押され、その衝撃に悲鳴をあげた。  
  一瞬、何が起こったのか分からなかった。  
   
  「ついに捕まえたぜ、トーマス!」  
  うまいこと念願を果たしたゴードンは笑いが止まらず、背後から彼を突き上げた。  
   
 
66 名前:“Catch Me!”  “Yes, I Will !”  (9/10)[] 投稿日:2008/02/21(木) 16:15:28 ID:TyYPWWXG0 
  「な、何するんだよゴードン!」  
  ようやく自分がゴードンに連結されたことに気づいたトーマスが、今度は怒って声を荒げる。  
  「いきなりぶつかるなんて危ないじゃないか!玉突き事故にでもなったらどうするのさ!」  
   
  しかしゴードンは悪びれた様子もない。  
  「いけないのはお前の方だぞ、トーマス。お前が急にのろのろし出すから、俺がぶつかっちまったんだ。  
  ここは路線が一本だけになってるんだから、後続列車が閊えないように急がなきゃならないことぐらい、  
  お前だって分かってただろう?」  
  「う・・・」  
  そう言われるとトーマスも返す言葉がない。  
  いつも走る路線でさえ、そのことは基本中の基本として叩き込まれていたはずなのに・・・。  
  今日は浮かれていたのと、突然の状況変化に戸惑い、すっかり頭から脱け出ていたのだ。  
 
67 名前:“Catch Me!”  “Yes, I Will !”  (10/10)[] 投稿日:2008/02/21(木) 16:16:07 ID:TyYPWWXG0 
  「そ・れ・に」  
  ゴードンは意味ありげに含み笑いしながら、  
  「『僕を捕まえてみろ!』って言ったのはお前だろ?思い通りになって良かったじゃないか♪」  
  そう言うと、興奮に任せて一際熱い蒸気をシューッと吐き出した。  
  トーマスはただならぬゴードンの様子を察知し、慌てて声をあげる。  
  「ちょ、ちょっと待ってよゴードン!僕はそんな変なつもりじゃ・・・」  
  「この期に及んで自分の言ったことをあれこれ取り繕うのは見苦しいぞトーマス!今日はお前も仕事の後で  
  思い切り走りまくって疲れただろうから、誘った俺が責任もって世話してやるぜ!ありがたく思えよ!」  
  「わああ・・・ゴードン~~~~~~~~~~~!」  
   
   
  俺様の作戦、大成功!  
   
                                                 End  
   
 
68 名前:“Catch Me!”  “Yes, I Will !”  作者[sage] 投稿日:2008/02/21(木) 16:27:27 ID:TyYPWWXG0 
  “Catch Me!Catch Me!”というトーマスの英語絵本をヒントにさせて頂きました。  
  ゴードンがトーマスに競争をふっかけ、最後にはトーマスが知恵をきかせて勝つ、というお話です。  
  これの日本語訳&実写放映はまだされないのでしょうか…?  
   
 

71 名前:風と木の名無しさん[sage] 投稿日:2008/02/21(木) 23:13:46 ID:mUw46OOx0 
  たしかに「僕を捕まえてみろよ!」  
   
  誘ってるとしか思えん・・・!  
 
281d5ad7.jpg





75 名前:ヘンリー、せんせいになる(?) Part1[] 投稿日:2008/02/22(金) 18:02:43 ID:w/cZJYWK0 
  『ゴードン、せんせいになる』のラストシーンより~  
   
  夕方のティッドマウス機関庫。  
   
  パーシー「ねえ、僕のスムーズな動き、見てくれた?」  
  ゴードン「ああ、見ていたとも。お前はしっかり学習したな」  
  (パーシー、鼻高々)  
  ゴードン「それと言うのも、ひとえにこの俺様が優秀な教師だからだw」  
   
  ヘンリー(おのれ、あの見せびらかし屋の威張りん坊!よくも僕のパーシーを独り占めにしたな…!)  
   
  2台の下へヘンリーが近づく。  
   
  ヘンリー「ふん、笑わせるなよ。今日君は調子に乗って雪溜りに突っ込んだそうじゃないか。僕ならもっと上手く教えられるね!」  
  ゴードン「な、何だと!車輪が小さいくせに生意気な…むぐぐっ!?」  
  パーシー「(ゴードンの口を塞ぎながら)ええっ?それホントなの?ヘンリーも先生になってくれるの?」  
  ヘンリー「もっちろんさ!僕はいろんなことを知っているし、教えられることはあの星の数ほどあるのさ♪」  
  パーシー「(目を輝かせながら)じゃ、じゃあ、今晩君の車庫に行ってもいい?教えて欲しいことがあるんだ!」  
  ヘンリー「ま、まあいいけど・・・」  
  パーシー「嬉しいっ!じゃあ今夜行くからね!約束だよ!」  
  ゴードン&ヘンリー「?」  
   
 
76 名前:ヘンリー、せんせいになる(?) Part2[] 投稿日:2008/02/22(金) 18:04:28 ID:w/cZJYWK0 
  その夜。  
   
  パーシー「グッドイブニング、ヘンリー♪」  
  ヘンリー「(本当に来たのか…)や、やあパーシー。それで、聞きたいことって何?」  
  パーシー「(声を落として)あのね・・・いつも君とゴードンとジェームズの3人が話してること、  
       何なのか教えて欲しいんだ」  
  ヘンリー「(な、何かこう嫌な予感…)え・・・何だい、その『話してること』って?」  
  パーシー「夜になると僕らが休んでる時にいつも話してるじゃない!『かっこいい急接近』とか、『蒸気のあげ方』とか  
       『連結方法のABC』とか!」  
  ヘンリー(聞き耳を立てていたゴードン&ジェームズ)「!!!!!!」  
   
  まずい、あの秘密を聞かれていたのか・・・ちび達が寝ている隙にこっそり繰り広げていた大人の会話を・・・。  
   
  パーシー「ねえ、教えてよ?僕が生まれてからここにくるまで、そんなこと教えてくれる人誰もいなかったもん。  
       接近方法とか、蒸気のこととか、連結とか、みんな機関車にとっては大事なことでしょ?」  
  ヘンリー「う、うう・・・それはだね・・・」  
  ゴードン&ジェームズ「(このパーシーの純粋な瞳で見つめられちゃそうそう誤魔化しは効かんぞ。どうするヘンリー!)」  
   
  ややあって。  
   
  ヘンリー「ようし、わかった。これはみんな難しくてな。口で言われるだけじゃ、  
  初心者は何のことか分からないものなんだ。だから特別に、実地で教えてあげるよ!」  
  パーシー「(ぱっと明るい顔になって)本当!?」  
  ゴードン&ジェームズ「何だとぉ!」  
  パーシー「あれ?何か外で声がするよ?」  
  ヘンリー「(ギクリ!)・・・さ、さあ。夜回りじゃないのかな。  
  …そんなことより、そうと決まったら早速!じゃあまずはそこに立って大人しくして…」  
   
 
77 名前:ヘンリー、せんせいになる(?) Part3[] 投稿日:2008/02/22(金) 18:06:18 ID:w/cZJYWK0 
  数時間後…  
   
  ヘンリー「はあ・・・はあ・・どうだい・・・パーシー・・・分かったかい・・・」  
  パーシー「うん・・・んんっ・・・すごく・・・きつかったけど・・・でも・・・  
      気持ちよくて・・・素敵だったよ・・・」  
  ヘンリー「そっか・・・よかった・・・」  
   
  ゴードン&ジェームズ(まさか、本当にここまで強行突破するとは・・・)  
   
  ヘンリー「ねえ、パーシー。これがどんなに良いことか分かっただろう?だから、本当に好きな人としか  
      こういうことはやっちゃいけないんだよ?約束できるよね?」  
  パーシー「(無垢な笑顔で)うん!約束する。本当にこれ、大切なことだったんだね!」  
   
  しかし、「本当に好き」の意味を分かっていないパーシーは、誰彼構わず仲間にこの誘いをかけて皆を慌てさせ、  
  当のヘンリーを愕然とさせ、挙句にヘンリーはパーシーにいらんことを吹き込んだとして、トップハムハット卿  
  からこっぴどく叱られる羽目になったのであった。  
  勿論、夜毎一緒になって猥談に花を咲かせていた他の大型2台も、  
  しっかり巻き添えを食ったことは言うまでもない。  
   
                                                     
                                                 おしまい  
 

94 名前:風と木の名無しさん[] 投稿日:2008/02/29(金) 15:12:06 ID:9FO+wxPBO 
  パーシーは誘い受けのイメージが・・・  
 
95 名前:風と木の名無しさん[] 投稿日:2008/03/02(日) 13:39:57 ID:3451GSua0 
  >>94  
  パーシーのあの可愛い声で囁かれたらたまりませんよね!  
 


293 名前:風と木の名無しさん[] 投稿日:2008/07/03(木) 23:05:47 ID:j/ATQHpi0 
  擬人化エドワード×ジェームスのSSを書いてみました。  
  お気に召せば幸いです。  
 
294 名前:Like a Hawthorn part 1[] 投稿日:2008/07/03(木) 23:06:20 ID:j/ATQHpi0 
  「ジェームス・・・」  
  エドワードはそっと、傍らに眠る恋人の名を呼んだ。  
   
  夏の終わりの心地よい風が寝室にそよぐ。  
  2人が横たわってまだ余裕のあるベッドの上で、ジェームスはすやすやと、軽い寝息を立てている。  
  先ほどまで激しい情熱を迸らせ、歓喜の叫びを上げていたのが嘘のように、穏やかな顔だ。  
  天使みたいだ、と思う。  
  いつもの憎まれ口ばかり叩いて、同僚たちと喧嘩を繰り返す、小生意気な若者ではない。  
  彼がこんな表情をするのだと知ったら、仲間たちはどんな顔をするだろうか。  
   
   
  「ジェームスは甘えん坊だね」  
  さっき、いつものように戯れながら、ふと口にしてしまった。  
  こうして2人きりの時間を過ごすとき、彼は貪欲なまでに快楽と、  
  そしてエドワードの愛を求めてくる。  
  思い切り恋人の首に抱きついては唇を重ね、よく引き締まった肌に指を走らせて彼を歓ばせ、  
  堪え切れなくなれば何度も、自らエドワードを受け入れたがる。  
  至福の時を迎えた後も、愛するものの胸に縋り付いて離れようとしないのだ。  
   
 
295 名前:Like a Hawthorn part 2[] 投稿日:2008/07/03(木) 23:06:55 ID:j/ATQHpi0 
  ジェームスは彼の愛車顔負けに真っ赤になった。  
  「そ、そんなこと・・・」  
  ぶっきらぼうにそれだけを口にし、ぷいと横を向いてしまったけど、  
  彼には珍しく歯切れが悪いのは、きっと否定し切れなかったせいだろう。  
  その様子が何とも可愛らしくて。  
  「嬉しいんだよ、ジェームス・・・そうやって君に甘えてもらえるの」  
  そう言って抱き寄せ、艶のある豊かな髪を撫でてやる。  
  ジェームスは恥ずかしそうに、それでも幸せそうに笑って、またエドワードに身を預けてくれた。  
   
   
  不意に、数日前の情景が頭をよぎる。  
  「ねえ、見て!今年もサンザシが実をつけたよ」  
  エドワードが仕事帰りに果樹園に差し掛かると、農作業をしていたトレバーが朴訥な顔を綻ばせながら、  
  彼と、丁度鉢合わせたドナルドとダグラスを招き入れてくれたのだ。  
   
  牧師が丹精こめて手入れする庭の生垣に、その木はあった。  
  子どもでも手が届きそうな高さに、馥郁とした香りを放つ赤い実が鈴なりになっている。  
  スコットランドではこの木にあまりお目にかかれないとかで、双子は物珍しそうに覗き込んでいた。  
  トレバーに勧められ、実を一つ口に含むと、何とも言えない甘さが口の中に広がった。  
   
 
296 名前:Like a Hawthorn part 3[] 投稿日:2008/07/03(木) 23:07:44 ID:j/ATQHpi0 
  しかし、トレバーはここに決して幼子たちを近寄らせない。  
  「この木はね、硬い棘が一杯ついているんだ。ほら」  
  そう言って彼が指し示した先には、なるほど、無数の棘が枝を包むように生えている。  
  「おやおや、これはまた随分と厄介な木なんですねぇ」  
  「全くですなドナルド。実はこんなに綺麗で美味しいのに」  
  北国生まれの兄弟が無遠慮に言うと、トレバーはにっこりして、  
  「きっと、この子はとってもシャイなんだよ」  
  そんなもんかね、と4人は夕焼けの下で笑い合ったのだった。  
   
   
  (君みたいだね)  
  あの一時を思い出し、エドワードはふっと笑顔になる。  
  全身を硬く鋭い棘で覆い、容易に他者を寄せ付けようとしない。  
  けれど、その中には驚くほど赤く、甘い果実が守られているのだ。  
  (君も、きっとあの木と同じだ)  
  彼がやたらと毒舌を振るい、口喧嘩ばかりするのも、そのためなのだろう。  
  自分の奥に潜む繊細な感情や、柔らかな情愛を容易く奪われることのないように。  
   
   
  汗に濡れたダークブラウンの髪が、染み一つない色白の肌に張り付いているのをそっと整え、  
  ゆっくりと寝具をかけ直してやる。  
  (僕だけだね)  
  口に出るか、出ないくらいの声で、微かに呟く。  
  君のこんな姿を見られるのは。  
   
  誇り高きサンザシの、優しい実を味わうことができるのは。  
   
  おわり  
   
  
672 名前:風と木の名無しさん[] 投稿日:2009/08/25(火) 01:41:09 ID:oAApyyDhO 
  >>668です。エドワード×ヘンリーの話の方が先に書けたので今日中に投下します。  
  >>658氏のアイディアを借りました。黒エドワード・微エロ表現有り。嫌いな人はスルーで。  
 

673 名前:黒い薔薇と毒林檎①[] 投稿日:2009/08/25(火) 11:27:18 ID:oCrYXosh0 
  誰に対しても聖母のように優しく、頼りになる大ベテラン機関車・エドワード。彼の隠れた性格を知っているのは、ヘンリーただ一人。今日も、気の弱い緑色の大型機関車は、彼の掌の上で転がされることとなる―…  
  通算三度目の「フライング・キッパー事故」の被害者(もとい加害者)となったヘンリーは、みじめな気持ちで運ばれていた。子ども達にからかわれ、クランキーにバカにされ、すれ違う機関車からもクスクス笑われ…いっそのこと、海に沈んでしまいたいと思える位だ。  
  ずっと落ち込んでいるヘンリーを見かねたエドワードが声をかけた。  
  「そんなに気にするなよ、次は気をつければ大丈夫さ。」  
  だがその後、ヘンリーの顔のそばでエドワードが小さくささやいた。  
  「悪い子だね、ヘンリー。君には“おしおき”が必要みたいだね。」  
  ヘンリーは血の気がひいていくのを感じた。横目でチラリとエドワードを見ると、嗜虐的な、黒い笑みを浮かべている。誰も知らないエドワードの本性が表れたのだ。  
  「じゃあお休み、ヘンリー。」  
  一瞬で普段の彼に戻り、さわやかに機関庫に帰って行った。ヘンリーは“おしおき”のことを考えると頭が痛くなったが、寝たらすぐに忘れてしまった。  
 
674 名前:黒い薔薇と毒林檎②[] 投稿日:2009/08/25(火) 11:39:03 ID:oCrYXosh0 
  数日後、ヘンリーはゴードンの丘で立ち往生していた。急な上り坂な上に風が横から吹き付けてくるこの丘は、パワーのあるヘンリーでも登るのは一苦労なのだ。貨車の重さでなかなか前に進めないヘンリーに、機関士が言った。  
  「後押し機関車の応援を呼んでくる、ちょっと待っててくれ。」  
  10分程経過すると、後ろから聞き覚えのある汽笛が聞こえてきた。  
  「ヘンリー、エドワードが来てくれたぞ。これで時間通りに着けそうだ。」  
  「もう大丈夫だよ、ヘンリー。」  
  そう言ってエドワードはヘンリーの後ろにつくと、ぐっと思い切り押した。が、いつもと何か違う。他の機関車がやるような「連結」ではないのだ。おかしいと思ったヘンリーの頭の中に、あの時のエドワードの言葉がフラッシュバックした。  
  (悪い子には、おしおきが必要だね…)  
  あっ、と思った時にはもう遅かった。連結器がねじこまれるような感覚。痛さもあったがそれ以上に、何とも言えない快感がヘンリーを襲う。例えるのなら男女の睦み合いのような感じだが、ヘンリーに分かる筈もない。  
  「あ…エドワード、やめてく…れっ」  
  軽く喘ぎながらも、必死に言葉をつなぐヘンリー。  
 
675 名前:黒い薔薇と毒林檎③[] 投稿日:2009/08/25(火) 11:49:33 ID:oCrYXosh0 
  「ほら、ヘンリー、急がないと遅れるよ?」  
  エドワードはそ知らぬ顔で、なおもヘンリーを後ろから押し続ける。エドワードも興奮しているのか、一際熱い蒸気を吹き出している。ヘンリーは頭がぼーっとしてきた。気を抜いたら意識を手放してしまいそうだ。そう、まるで絶頂を迎える時のように…  
  気が付いたら、ゴードンの丘を登りきっていた。  
  「よし、よくやったぞヘンリー!」  
  機関士の声でハッと現実に戻された。ヘンリーの思考は正常に機能せず、まだクラクラしていた。夢か、うつつか。彼は、逃れようのない快楽の海にはまってしまったことをこの時は知らなかった。  
  一方、連結を外したエドワードも、気持ち良さと満足感でボンヤリしていた。始めはヘンリーがどんな反応をするのか面白がっていたが、彼自身も沸きあがる欲を抑えきれなくなっていた。また1つ新たな楽しみを見つけたエドワードは、1人でほくそえんだ。  
  (君にはいつでも…“おしおき”してあげるよ、ヘンリー?)  
  次はどんなおしおきをしようかワクワクしながら、エドワードはゴードンの丘をゆっくり下って行った。  
   
  おわり  
 

インターネットは高校からだろ

おすすめ

おすすめ

今週の人気記事

    先週の人気記事

      先々週の人気記事

        DLSITEランキング

        コメントランキング

        RTランキング

        おすすめサイトの最新記事